飛ぶ教室

実は読んだことがありませんでした。

何度か開いたことはあるのですが、馴染まない名前や外国の生活、書き方が、子どもの時の私にはややこしくて、数ページでやめてしまっていました。

 

登場人物がとても素敵です。

弱虫ウーリと腕っぷしの強いマティアスが仲のいいこととか、

食いしん坊だけど借りた金はきっちり返すし、気前よく食べ物を振る舞うマティアスとか、

セバスティアンのセリフとか。

 

特に好きな人物は、まずはドイツ語のクロイツカム先生。表情がちっとも動かないのに、みんなが思わず笑っちゃうようなことを言う。そういうキャラクターって、個人的にとても好きです。

大人や上級生は嫌な奴に書かれやすいけど、欠点も挽回のチャンスも描かれていて素敵でした。校長先生も、上級生も、実業学校の生徒も。

 

セバスティアンの話。

「違いは、ウーリはそいつらより恥を知ってるってこと。意気地が無いってことを、誰よりも自分が気にしてた」

「欠点や弱みは、誰にだってあると思うよ。問題は、それを誤魔化すかどうかってことだ」

 

ジョニーの話。

「慣れだよ、慣れ」

「親がひょっこり現れて、迎えに来たよ、なんて言うところを想像することがよくあるけどね、そうすると、1人でここにいられるっていいなあって、改めて気がつくんだ」

「心配するな。僕はすごく幸せってわけじゃない。そんなこと言ったら嘘になる。でも、すごく不幸せってわけでもないんだ」

 

上記の二つの話は、とても好きです。

 

そして、クリスマス劇のこと。

私は、そして多分日本の多くの学校では演劇とか台本とかあまり馴染みがないけど。

自分が学習したことや知識を、どう受け入れたり考えたりして(どこを台本に入れるか選んだり、言葉を考えたり、お話を考えたり)、道具や衣装も考えて用意して(用意するにも、どんなものが合うか考えて、交渉したり、他のもので間に合わせる工夫をしたりして)、自分達で練習して、どう表現するか話し合って、上演する。

高度な学習発表会のように感じました。

そして、こうあるべきなのだろうとも、思います。

40人でやるのは、やはり難しいけど、改善できるところはたくさんあると思う。

 

昔に書かれた話だし、大人から子どもへの説教のようなところもあります。

でも、登場人物や劇や生活が面白くて、ひどすぎることも起こらなそうで、安心して楽しく読むことができました。

教員とか子どもと関わるとか、学校とかについて、考えさせられるところもありました。